窮鼠はチーズの夢を見る
本当にただただ純粋な恋愛映画だった。
冒頭のシーン、恭一が先輩の奥さんと不倫しているのが分かってしまう会話。(深読みしすぎかも)
今ヶ瀬と再会し、なんとかならないかと頼み込む恭一。
もうここまでで恭一の最低さがよく分かる。
浮気調査を頼んでいた妻も実は不倫をしていて、恭一は「信じてた」なんていうけど説得力のかけらもない。
不倫相手とも別れ方が大事だと、すぐに別れようとしない恭一、安定の最低具合。
そんな状況に漬け込むかたちで今ヶ瀬は恭一に迫る。最初は流されながらも拒否していた恭一。でも回数を重ねてだんだんと受け入れていく。
そんな中また恭一は不倫相手のもとへ。
求められた恭一は今ヶ瀬を振り払うように女性を激しく抱く。
恭一が今ヶ瀬と女性、男性と女性との間で揺れに揺れているのがよく分かったシーンだったな。
すごかったのが4人で食事をするシーン。
観てるこっちまで緊張してしまうような張り詰めた空気感。セリフもあまりなくて目線だけが交差する静かな空間。とても印象的だった。
食事のあと、泥酔した恭一を夏生は家まで送る。
すると出てきたのは今ヶ瀬。
夏生の驚き具合が分かりやすくてすごく共感できた。
わたしも夏生の立場ならああなるだろうな。
そして3人での食事シーン。
夏生の自信がとにかくすごい。
なにがあっても私が選ばれるに決まってるという確固たる自信がとにかくすごい。
女が男に負けるわけないというジェンダー観もすごい。
そんな中、恭一が今ヶ瀬と同じビールを頼んだときに嬉しさがこぼれてる今ヶ瀬はすごく可愛かった。
自信しかない夏生と想われ続けている今ヶ瀬、こんな2人に迫られる恭一は辛すぎると思う。
まあ恭一が招いた部分も少なからずあるけど、しんどすぎるよこんな状況。
結局恭一は夏生を選んでホテルへ。
でもすぐ家に帰ってくる。
このとき今ヶ瀬が観てた映画がなにかと意味があるみたいで。
記事で読んだけどあんまり覚えてない。(おい)
ここからの流れはすごく綺麗だったなあ。
こんな感じで最後まで書こうと思ってたけど力尽きました。
また今度書き足そう(たぶんやらない)
今ヶ瀬は自分の世界に入り込んでしまう性格なのかな。
だからずっと恭一のことを想い続けられたし、だからこそ恭一のことを疑ってしまう。
ファンデーションだって本当に泣いているのを抱き締めただけだったのにね。
恭一は相手によってどんどん変わっていく人、本当に流され侍だった。というか人に求められると断れない人。
それが相手にとってすごく残酷になるときもあるのに。
そんな二人が惹かれ合っていくんだから簡単にハッピーエンドにはならないよね。
海のシーンがすごく良かったな。
別れることを決めてから行くところがこの2人らしい。
悲しくて綺麗な画だった。
最後の方のシーンで思い切り叫ぶ今ヶ瀬が印象的だった。
あと印象的だったのは恭一がゲイクラブにひとりで行くシーン。
これ原作になかったシーンなんだね。(読んだけど内容を忘れていた)
今までなら絶対しないような行動をとって泣いてしまう恭一をみてると胸が苦しくなった。
ゲイクラブのシーンみたいに今ヶ瀬の存在が恭一のなかで大きくなっていく描写が丁寧だったな。
いつも今ヶ瀬が座ってた椅子に座ったたまきを恭一がすぐ呼び寄せるシーンとか。
流され侍の恭一だから今ヶ瀬に流されているだけと言われればそこまでなんだけど、そうじゃなくて今ヶ瀬が恭一の"例外"になっていく過程が綺麗に映されていたと思う。
あとは夜の路上で恭一が今ヶ瀬にいらないって告げるシーン。
言われた今ヶ瀬を思うと胸が苦しくなったし、言った恭一も本心ではなくて今ヶ瀬のために言っているようで胸が苦しくなった。
あのあとに実はカットされていたシーンが存在するらしく、そこでは2人とも泣いて熱い演技をしていたと監督が話していたみたい。
気になる。
でも、カットすることに意味がある的なことも話してたみたい。
余白だなあ~~~。
後半はたまきがかわいそうだった。
婚約までしたのにね。
はやくいい人見つけて幸せになってほしい。
あの青のカーテン、わたしは好きだったな。
届いてからなかなか開けられず、結局使われなくなったカーテンかわいそう。買い取ります。
今ヶ瀬のためにカーテンも灰皿も元に戻して、あのスツールに座っていた恭一は爽やかでどこか吹っ切れたような顔をしていた。
今ヶ瀬は泣きじゃくっていたのに。
その対比も面白いなと思った。
この映画は最後まで余白があったなあ。
だからいろいろと考えたくなるのかもしれない。
観る人によっていろんな感想があるだろうな。
できれば何回か観たいな。
綺麗な映画でした。
観て良かった。